動物園へ行こう2


「ぞーさんっ!」
よく見えるように肩車したキラからは絶えず驚きと感動の声が発せられていた。
「おっきー」
ムウの頭をくしゃくしゃに乱しながらはしゃぐキラに回りの人達からもクスクス笑われた。
最近動物の絵本がお気に入りのキラには実物を見るのは良い勉強になるだろう。
絵とのギャップの激しい熊には流石にショックを受けていたようだが。
しかし何より怖がっていたのはライオンである。
たまたま機嫌が良くなかったのかキラが「わんわっ!」(犬と間違えている)と言うと
ライオンは大きな口を開けて柵ごしに跳びかかってきた。
その迫力にキラはライオンに負けないくらい大きな口を開けて泣き出してしまった。

ムウは泣き止まないキラの為にかき氷を買いに行くことにした。



ちょうど仇のライオン園の前を通りかかるとムウは不思議な親子を見掛けた。
(はぁー動物園にスーツかよ)
いかにもエリートと言った風の紳士は動物園では明らかに浮いている高級なスーツを着用していた。
手を後ろに組んでライオンを見据えている姿は異様なはずなのに何故だか威厳に満ちて似合っている。
その横には女の子と間違えそうな美少年がいた。
春の日和のように和かで万人受けする顔立ちである。

(親子か?子供は母親似だろうな…)

キラと同じくらいの年に見受けられるがキラよりもずっと大人っぽい。
キラもこんな風にしっかりしてほしい、と思ったが…

「主にアフリカやインドに生息している食肉目ネコ科の動物ですね。
単独行動が多いネコ科のなかでも珍しい群を形成してます」
「うむ。お前もあの百獣の王の如く強くなるんだぞ」
「はい。父上」

…やはりキラはキラのままでいい。


急いで愛しい妻と子の元へ走った。
キラの怪獣のような泣き声は聞こえなくなっていた。
「おっ。えらいぞ、キラ。もう泣き止んだ…」
「パパぁ。うさたん」
くるりと振り返ったキラはそれはもう可愛らしくて。
小さな腕に真っ白な兎を抱えて、涙の残るキラキラ瞳で嬉しそうに笑った。
両手にかき氷が無ければ迷わず抱き締めていただろう。
「園の方がね、あまりにキラが泣くもんだからだっこさせてくれたの。可愛いねーキラ」
「かわいー」

ああ…やはりうちの子が一番だ。




キラとかき氷を半分こして食べた後、最後に猿の檻があった。
子猿が母猿にしがみついているのを見てキラも触発されたのか、マリューにだっこをねだってきた。
「仕方ないわね」と苦笑しながらマリューはキラを抱き上げた。


ああもう本当にうちの子が一番可愛い。

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