僕の家庭教師2




「先生のファーストキスの相手って誰?」
キラは熱心に問題を解いていると思ったら唐突にそんな質問をしてくる。
イザークは思わず見ていた教科書を落としてしまった。
「何でそんなことを聞く」
「昨日の放課後、友達と話してたらいつの間にかそんな話になっちゃって」
思春期だからそれくら興味があって当然だが。
「僕は女の子と付き合った事がないし、まだだって言ったらアスランが『キラの相手は俺だよ。3歳の時にしたの覚えてない?』って言うんです」
「何だと?!」
「全く覚えてないんですけどね」
「…そうだな。キラは父親にされたこともあるだろ」
「はい。小さい頃はしょっちゅうだったって母さんも言ってました」
「アスランも似たようなものだ。人間は小さく可愛いものを愛しく思うようにできているんだ」
「ああ、なるほど」
「好きな奴とやったのがファーストキスだと俺は思うが」
「そっか。そう考え」
言葉はふと唇に柔らかなものが触れてきて止まる。
イザークの整った顔が妙に近い。
唖然と目を見開くキラにイザークはニヤリと笑う。
「今のは数に入ったか?」
「なっ!////」
「俺は数に入れてやってもいいぞ」
「えっ?それって…」
真っ赤になっていくキラの顔を捕らえ、唇の輪郭を指の腹で楽しそうになぞる。
「まあ、数に入るまでやるというのもいいが」
「!!もう入ってますっ!だからもういいです」
さりげなく告白していることに気付いているのかいないのか。
「ふ〜ん…もういいのか」
「…」
何か言いたそうだったが、そのまま勉強を促した。
むくれたまま黙々と問題を解いていくキラの横で、イザークは笑いを堪えるのに必死だった。


勉強が終ってイザークは部屋を出ようとしたが、見送ろうとしていたキラの方を急に振りかえる。
「目をつぶれ」
「??」
「早くしろ」
いつもの命令口調に反射的に従う。
ふわりと唇に触れる感触に驚いて目を開くと青い瞳とぶつかった。
少し悪戯っぽそうに光っていた。
「頑張ったご褒美」
「―っ!」
「明日も頑張れよ」
唇を手で押さえたまま立ち尽くすキラを置いて部屋の扉は閉じられた。



始めは触れるだけ。
大学に入ってくるまではそれだけのつもりだ。





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